山道を下っている。
大菩薩峠のようでもあり、男体山のようでもある。
とにかく道には石がごろごろしていて歩きにくい。
どこかで出会ったトミコさんが一緒である。
思い出した。
中学の修学旅行で日光へ行った時のバスガイドさんだ。
あの時と同じで、笑顔が可愛い人である。
「腹に二文字の帯付けて、走る関東よい車ー、いきだよ、はやいよ、さぁさよいよい、バスはよいよい、あなたのくーるーまー」
トミコさんが透き通る声で、なつかしいバス会社の歌を唄っている。
なかなか道が進まないので、スケーターにトミコさんと二人乗りして、谷川を下ることにした。
川の急流をスケーターで走る。
早い早いぐんぐん走る。
目的地は分からないが、確か数十キロ先のはずなのだが、すでに通り過ぎている。
とにかくスピードが早すぎる。
トミコさんはボクにつかまり、楽しそうに道のガイドをアナウンスしてくれている。
途中に線路があったが、そんなものは一気に乗り越えて走った。
気がつくと、東京へ戻っている。
こりゃまずい、再びスタート地点へ戻るために走る。
トミコさんの横顔が楽しそうにニコニコしている。
途中の道にスケーターの子供たちが沢山いる。
みんなから「かっこいい!」と言われ、気持ちがよくなって更に走る、走る・・・
(ここまでしか夢は覚えていないが、トミコさんは55年も前に会った人だ。夢の中ではフルネームで思い出した。夢はもう一つのボクの人生であることを実感したなぁ)