高校生のボクである。
鎌倉学園高校の制服を着ている。
当時は粋がってかぶらなかった学帽までかぶっている。
ここは多分、当時の遊び場だった七里ガ浜から稲村ケ崎あたりだろうか。
ボクは海を見つめてたたずんでいる。
こうやって独りで海を見つめていることが大好きなんだ。
小さな入り江になっている岩の崖の上に来た。
眼下の石コロだらけの磯で、二人の釣り人が浮き釣りをしている。
当たりはあるようだが釣れていない。
釣り竿は3本あり、もう一人釣り人がいるようだけれど、姿が見えない。
その無人の釣り竿に魚信が・・・
釣り人が戻ってきたので、魚の当たりを教えてあげる。
ボクよりは年上の、20代のその青年は釣り竿を持ち合わせをくれた。
魚が針掛かりして、猛烈な勢いで沖に走りだした。
ものすごいスピードである。
沖へまっすぐに数百メートルも・・・
釣り人の青年は必死に釣り竿を手で握り締め、道糸がピーンと張っている。
もうひとりの釣り人が、応援で青年の身体を支えている。
その横顔をみると、なんと今、住んでいる近所の肉屋のおやじさんだ。
その驚きで夢が終わっちゃった。
(高校生の自分に会えるなんて、夢はすばらしい。肉屋のおやじさんは、偶然だけれど、地元鵠沼の中学の先輩なのだ)