母と駅へ急ぐ。
白い卯の花が咲く、初夏の鵠沼海岸の道だ。
電車の時間に間に合わないので、線路際の道を歩くことにした。
後ろから小田急の電車が来た。
このままでは間に合わないので、駅のホームへ線路からよじ登ろうと思った。
しかし、鵠沼海岸駅のホームは
人があふれるようにいて、這い上がる隙間がないのだ。
中には、喧嘩する奴も居て騒乱状態だ。
ボクは軽い母を背負い、人込みをかき分けて進む。
人の流れが洪水のようで、母が背中からずり落ちそうだけれど、なんとか背中へ回した片手で押えている。
やっと、ホームまでくると、すんでの処で電車が動き出してしまった。
よし、電車と電車の間の連結器の処に乗ろうとしたが、それも上手く行かなかった。
次の電車を待つ間、誰も居なくなったホームには、母の姿もなく、ボクは独り駅の中の和室で、なぜか裸になっている。
早く服を着て、出なければまた、電車に乗り遅れると思うのだが、靴下が三足もあり、上手く履けない。
気持ちが焦ると共に、凄い尿意が・・・。
躊躇することなく、部屋の障子に向かって放水開始である。
凄い勢いでオシッコが出る。
気持ちいい。
部屋中がずぶぬれである。
次の電車の警笛が聞こえる。
まだ服を全て着ていない。
(ここで、驚いて飛び起きる。セーフである。危なかった。子供の頃はオシッコの夢を見たら必ずオネショをしていた。今日の母も、今のボクより年下で、和服の似合う可愛い母だったなぁ)