四谷スタジオで、テレビ番組の収録が終わったので、ダチョウ俱楽部の寺門ジモンと一緒に帰ることにした。
と言うより、ジモンがボクの行動に関心を持っていて、金魚のフンのようについて来るのだ。
ジモンは筋トレやグッズや食い物に、関心がある奴なので、敢えて難しい話題で、追い返そうと考えた。
「おい、パーキンソンの法則をどう思う?」
「それって河村さん、人間の能力はゴールを決めると、その3年前から落ちてくるって話でしょ」
ジモンは結構、読書家で勉強してるから、パーキンソンの話題についてきやがった。
「不都合な真実が、まかり通る世の中だよな」
ボクは話題を替えた。
「非常識でも、歩けるような社会にしたいですね」
まだついてくる。
ボクが、これから麹町のダイヤモンドホテルに寄ると言うと、ジモンは疑いと好奇心の目でボクを観た。
ボクが独りでホテルの玄関から入ると、ジモンは外側の窓から、ボクを伺っている。
ボクもそれを察して、プランターの陰に隠れて彼の動向を観察している。
ジモンはいつの間にか、自転車に乗っているが、中々帰ろうとしない。
その内、自転車でホテルの中に入ってきそうな素振りを見せ、玄関前のボーイさんに捕まっている。
ボクは、大急ぎで地下2階へ駆け下り、裏口から彼の追及を振り切ろうと考えた。
しかし、地下に降りると方向が分からない。
レストラン「マリー・アン・シェル」の中でウロウロして、やばいなぁと思っていると、そこへ歌手の伊藤咲子が入ってきて、私を見つけた。
「先生、何してるの?」
ひまわり娘は大きな声で叫んだ。
ボクは逃げ切れないと覚悟した。
しかし、いつ、寺門ジモンが伊藤咲子に変身したのか・・・
それが、分からないのだった。
今、目の前の寺門ジモンは、セーター姿でニコニコ笑っている。
(なぜ、寺門ジモンから逃げたいのか?それは分からない。彼は好奇心は強いが、社交的ではないので、みんなと群れるのは好きではなかった。それで、よくボクと話をしてがっていた・・・。お笑い芸人だけれど、とても勉強家のナイスガイなのだ。
マリー・アン・シェルと言うレストランは、知らない)