河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

年上の女性への憧れ…少年の初な恋物語。

ただ一面に立ち込める羽二重のような柔らかな霧。

草枕でまどろむボク。

「シゲルちゃん!」

微かに聞き覚えのある、ボクを呼ぶ透き通った可愛い声。

目を閉じて、心のアーカイブス走馬灯をめくる。

そうだ、ここは日光の戦場ヶ原だ。

では、この声は・・・。

ふなだとみこさん!

もし、ボクが傷心の身であったなら、躊躇することなく、その胸に抱かれるであろうほどの頬笑みと眼差し。

そのとみこさんがボクの前にいる。

確かにいるのだ。

でも、ボクは一センチたりとも動けない。動かない。

動いたら、とみこさんがいなくなってしまうような気がして。

とみこさんは、清楚な白のブラウスに濃紺のフレアーなスカート。

あの日と同じだ。

この衣装が似合うひとは、とみこさんしかいないだろうと思う。

「あれ?いつものユニホームじゃないのですね?

「うん、お仕事辞めたから・・・」

とみこさんが寂しそうに言った。

やはり、そうだったんだ。辞めたんだ。

ボクは、納得した。

納得した事を、記憶しようと考えていたら、覚醒してしまった。

もう一度、慌てて目を閉じたが、夢は別の物語だった。

それは、書かない。

(とみこさんは、ボクが中学生の時、修学旅行で日光へ行った先のバスガールさんだ。ボクはとみこさんに一瞬で心を奪われ、旅行中、お寺や景色など何も見ていなかった。帰ってから手紙を出した。そしてボクの地元の江ノ島まで会いに来てくれた。

二人分のお弁当を持って、来てくれた。

可愛い、とみこさんが海を見つめながらぽつんと言った。「私ね、胸の病気だから、もう来られないのよ」

とみこさんとは、それきりだった。大人になったボクは、あれが結核と言う病気なのだろうと悟った。そのとみこさんに再び会えた。)