生憎の雨だ。
それも雨脚が強い。
低気圧が急激に発達中と、ラジオの天気予報が叫んでいる。
でも、このストリートはものすごい熱気だ。
あまりセンスは良くないが、郊外からやってきた若者たちで、道が埋まっている。
「おーい、テキ屋のおっさん、ゴミは持ち帰ってくれよ」
「おーい、雨でもやるぞー」
ボクは皆に指示を出している。
「暴走族が来るからよ、原宿側はロックンロール族が守ってくれよな」
ロックンロール族たちが、革ジャンの手を挙げて、OKの合図をよこした。
ロックバンドがガンガンにサウンドを出しまくる。
ストリートパフォーマーたちが踊り狂う。
劇男・一世風靡もいる。
ダンスが抜群のECNADもいる。
いつもの日曜日だ。
俺達の音楽のカルチェ・ラタンだ。
トラファルガー広場もモンマルトルの丘も霞んでるぜ。
ここは、俺達の原宿413ストリートだ。
あれ、雨が上がってる。
いつの間にか、晴天だ。
このNHKの嘘つきめ。
ボクは横目でNHKの建物に唾を吐く。
ロックだぜ、忌野清志郎なら同じことをするだろう。
いつの間にやら、晴天だ。真夏だ。
ラムネが飲みてぇ!ギンギンに冷えた奴だ。
そうだ、屋台のホットドッグでも食って、神宮の木陰で昼寝でもするか。
今日も問題はないだろう。
ボクは幸せな気分で寝ることにした。
(夢の中で眠りに就く…実際には、ものすごい雨音で目が覚めた。20数年前、原宿駅から富ヶ谷へ続く都道413号線のホコテンで、毎週日曜日に100組ほどのロックバンドやパフォーマーのプロデュースをやっていた。勿論ボランティアで。そして実は今日は24時間のがん患者支援イベント「リレーフォーライフ・ジャパン2014町田」の総合演出をすることになっていた。勿論ボランティアで。でも、早朝に豪雨中止のメールが飛び込んできた。残念!)