テネシー・ウィリアムスのドキュメンタリー映画を創ることにした。
そこで「欲望と言う名の街」へ取材に出かけた。
ボクのスタッフの小夏エリが、スクリプトを書く為に同行している。
この町は不思議な街だ。
香港や台湾のダウンタウンのようでもある。
酒の匂いと紫煙が立ち込めているのに、人がいないのだ。
運河には、大きな朽ち果てた木造のだるま船が係留されている。
人間の饐えた匂いがする。
安っぽいネオンサインの看板とガス灯の点いた店に入る。
コールガールなのだろうか、十数人の女性たちが、さっと前に並んだ。
その顔は無表情で、人間と言うよりエイリアンのようなのだ。
あらためて見ると背丈は1メートル程しかない。
その彼女たちが、うっとりした顔を造ってボクを見つめる。
「あなたたち!いい加減にしなさいよ」
気の強い小夏が一喝した。
「先生、出ましょ!」
ボクの腕を引いて外へ出た。
まともな女性はいないのかなぁ・・・
次に飛び込んだ店は、なんだかスーパーマーケットのように雑然としている。
やっぱり、そこへ十数人の女性たちが来た。
今度は、揃いもそろっておばさん軍団なのだ。
姿かたちは、地球上の人類とは違う。
背丈の低い、エイリアンっぽいのだ。
けれど、確かにおばさんなのだ。
「良い子がいる店知ってるよ」
「安くて可愛い子だよ」
「おにいさん、行ってごらんよ」
同じような姿形のクローンなおばさんたちが、口々にうるさい。
小夏の横顔を垣間見ると、爆発寸前の顔だ。
怒って啖呵を斬りそうだ。
こりゃやばいなぁと、思っていたら夢がここで終わった。
(珍しくスタッフの小夏が登場した。ここのところLM文化塾の外部折衝や企画の構築などで、小夏と話し合う時間が多いせいかもしれない。しかし、小夏が怒って爆発する前に目覚めて良かった(笑)。)