河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

半島の岬を降りると、壊れた水族館が…

小さな半島の足元の海。

伝馬の漁船で、漁師の松五郎と鯛を釣っている。

手バネのしゃくり、つけ餌はサイマキだ。

「夕日がおー、あの山の20センチぐれいの時に、ここいらの鯛が食う時合だおー」

松五郎が、西の山を指さして言った。

夕日が真っ赤に燃えて、西の山の峰の20センチの処へ落ちて来た、その時だった。

ボクのしゃくりが空中で止まり、竿の先が、いっきに海中に持って行かれた。

竹竿のしなりで必死にこらえるボク。

海底に引き込もうとする、明らかな大鯛の当たりだ。

今まで、経験のない強烈な当たりだ。

そいつは海底をゆらゆらと泳ぎ、伝馬の船ごと引っ張っていく。

ボクは水面を見つめ、大鯛との決死のやり取りに夢中だ。

気が付くと、辺りは闇夜。

鯛に引きずられた釣り糸が、夜光虫の海面を切り裂き、万華鏡のようだ。

眩しさに、目を閉じた。

そして、再び開けると、そこは廃墟の水族館の中だった。

どの水槽にも水が無く、クモの巣が張っている。

水草の代わりにキノコが生えている。

水族館内の照明は、裸電球一個。

そのぼんやりした灯りに照らされて、まだ水の残る、大きな水槽の中に鯛が一尾泳いでいた。

8㌔はありそうな大鯛だ。

良く見ると、鯛の口に釣針が刺さっていた。

鉛の付いた鯛のテンヤ針、ボクが自分で作った奴だ。

えらいことをした。

ボクは朽ち果てた階段を駆け上り、大水槽の中に飛び込んだ。

鼻に水が入ってくるしい。

これは子供の頃、いきなり海に飛び込んで、いつも経験していた、あの咽るような感触だ。

なつかしいなぁ・・・

何て事を思っていたら、夢が覚めたらしい。

(この小さな半島が何処だかは、分かっている。よくこの季節には、のっ込みの鯛を釣りに行った。そして、そこにはあまり人に知られていない廃墟の水族館が実在する。ボクの秘密の隠れ家だから、内緒(笑))