河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

不気味にうす暗い廊下の先にあるものは・・・

静かに佇む古い洋館の玄関を入ると、うす暗い廊下が延々と続いている。

何処からか、流れてくる乾いた空気の中にエタノール臭。

更にその中に、中学生の頃、学校の実験室で嗅いだホルマリン臭も。

裸電球が灯るその廊下の左右は、検査室や薬品室や放射線室等を示すプレートがある。

けれども、人の気配は感じない。

ここは、都心にある大きな大学病院、人は居るはずなのに・・・。

何だか病院なのに、三途の川へ向かう道のようだ。

その暗い廊下の右に折れた突きあたりの部屋。

古びた木製のドアー。

突然、それが外側に開いて、飛び出してきた白衣の技術者・・・

何処かで見たことがある、と思ったらトム・クルーズだ。

その後ろから、大笑いをしながらブラッド・ピットもいる。

ボクは、何の不自然さも感じることなく、その部屋に入った。

長く闘病している、兄事する作家を迎えに来たのだ。

部屋の中は、大きな機械が設置されたベッドが数百もあり、夥しい患者が寝ながら透析を受けている。

患者と機械を2本の真っ赤な管がつないでいる。

部屋中に、規則正しい機械音が響いている。

真っ赤に見えるのは血液で、それは透明な管なのだ。

皆の目が、いっせいにボクを見る。

健康すぎるボクは、病院の中ではいつも引け目を感じる。

この気持ちはなんなのだろう。

そんな事を思いながら、作家を探した。

「おーい、ここだよ」

やせ細った作家が、小さく呟いていた。

作家はベッドの上に、胡坐をかいて座っていた。

左手のシャントからは、すでに透析の管は外されていたが、血が滲んでいる。

「シゲルちゃん、俺、死ぬのかなぁ」

作家がボクを凝視して呟いた。

いつものことだ。

ボクもいつもの言葉を呟いた。

「ああ、死にますよ、ボクも、いつかはね」

作家は、いつものように笑ってくれた。

昼飯は、うなぎでも食いたいな・・・

部屋中に、ひつまぶしの匂いが充満した。

(年に何回かは見る病院の夢。この兄事する作家の看病は7年間だった。

週3回の透析もあった。実際のベッド数は15床ほどだったが、決して明るい部屋ではなかったなぁ)