河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

漆黒の洋上…その先は黄泉の渕?まさか・・・

黒墨をキャンバスに流したような漆黒の洋上。

わずかなフォローの微風をメインスルで掴み、ボクの操舵するディンギーはピスピスピスピスとバウで海を切り裂いて進んでいる。

ヨットが海と会話しているような音だ。

暑い。

猛烈な湿度だ。

海が涼しいなどと言う感覚は、セーラーにはない。

アゲインストの風ならまだいいが、追い風フォローはヨットでは地獄の一丁目だ。

追い風に乗ったヨットは無風状態なのだから。

その時である。

突然、ブオーンと、ダウンブローが落ちて来た。

天空の風神が、背負った風袋を思い切り開いたような、上から叩きつけてくる風だ。

風が真逆になった。

ボクはメインスルを戻して、ジブセールを出した。

暗黒の中をヨットが疾走する。

何も見えない。

その時だった。

海面に数億の星を散りばめた様な、眩い幻想の世界が現れたのであった。

何百何千のネオンを着けても、ここまでの光度は無理だ。

この世のものとは思えない、光り輝く世界が出現した。

疾走するヨットが夜光虫の群れに突っ込んだのだ。

ヨットのバウが切り裂き、飛沫となって飛び散る波に、泳ぐ夜光虫が、驚愕の光を放つのだ。

美しい。

美しすぎる。

飛び散る飛沫が、ボクの頭上からも降りかかり、ボク自身も光り輝く。

このまま心を奪われたまま、この世から消えていってもいいな。

何も怖くない。

ボクはこんな最後を望んでいたのだから。

それが今なのか。

待て、原稿の締め切りは?

LM文化塾の企画書は?

本棚の整理は?

まだまだあるぞ・・・

なんてこと、真剣に考えたら、目覚めちゃった。

(久々の夜のクルージング・・・もっと見たかったな。夜のヨットは船上を明るくすると、先の障害物が何も見えないので、真っ暗にしておく。運が良いと美しい夜光虫の群れに遭遇する。あの美しさは忘れられない。)