武蔵野の面影が残る、雑木林を歩いている。
小川のせせらぎには、カルガモの親子が遊んでいる。
水中にはザリガニの子供たちも遊んでいる。
ボクはいつものように、大好きなウオーキングを楽しんでいる。
その時、傍らの小枝にとまっていたムクドリが、ボクの肩に飛んで来た。
黒い羽根を纏って、くちばしと脚はオレンジ色。
頭に白い帽子をかぶった可愛い小鳥。
どうやら仲間外れになって、ボクと一緒に居たいらしい。
でも、無理だよ。
君は野鳥、ボクは君の面倒は見ちゃいけないんだからね。
ボクは未練を残すムクドリを、そっと空に放した。
なぜだか突然、ボクはスタッフの運転する車の助手席にいる。
車は林の中を走っている。
路がカーブになった時、ボクは小さな衝撃を感じて、車を停めさせた。
ドアーを開けて、外を見ると、あのムクドリが死んでいた。
ボクは少し躊躇ったが、駆け寄ってムクドリを手の中に抱きしめた。
ムクドリは、優しい顔つきで眠っているように死んでいた。
乙女の清々しい顔だ。
指先で撫でる身体にも、大人になったばかりの少女の香りが・・・
ボクは両手で彼女を抱きしめ、どうして良いのやら分からない。
いっそ、食べてしまおうか・・・。
そんなことを、想い浮かべて立ちつくしている。
(起きてから、この夢は何を暗示し、何を象徴しようとしたのか考えている。シュールの画家ならば、もっとエロティシズムの象徴のように描くかもしれない。ギリシャ神話の「レダと白鳥」のように。凡人のボクには、本人でさえ分からないけれど。)