紫煙に霞むライブハウス・・・
パンクなロックの音響がすさまじい・・・
まるで、何かに抗うように、突き放すように、響く・・・
その少女は壁際に立って、セックス・ピストルズの激しいリズムに身体を委ねている。
パンクなファッションの観衆の中で、彼女は真っ白な割烹着を着ている。
時代へのアンチテーゼ。
これもまた、パンクファッションだなぁと、ボクは思っている。
彼女は、何に抵抗しているのだろうか。
左手中指にキラリと存在感のある、ヴィヴィアン・ウエストウッドの指輪。
社会に抗う象徴的なアクセ。
体制に対抗する謀反の象徴。
辺りには1970年代が立ち込めている。
濃いめに引いた彼女のアイラインの渕から、大粒の涙が落ちている。
それは真珠。
真珠貝は、侵犯する異物を体液で包み込み、輝く珠に変えるのだ。
ステージはRCサクセションになっている。
ボクはソファーに沈んで目を閉じた。
(1970年・・・なんでオボカタさんが出て来たのだろう。多分、いつも彼女から感じている、何かへのアンチテーゼ。そこはボクと共通する部分でもある。ボクの大好きな孤軍奮闘…見つめていてあげたい女性のひとりだな。)