無数の泡が取り巻く視野の中に柔らかな山肌が見える。
湯気のよう一面に立ち込める虹の光彩の泡。
山の稜線に見えたのは、美しい女性の曲線。
ボクは自分のエロスが惹きつけられるのを感じている。
幻想的な、あまりにも幻想的なエロティシズム。
曲線は男にとって、女性美の象徴。
エロスの究極。
だから、女性が身につけるものは、曲線が多い。
衣装も装身具も・・・。
女性は、暗黙の内に男のエロスを刺激しているのだ。
そんな想いの空想が、一瞬で頭を駆け巡る。
光り輝く霧が、うっすらと晴れてくる。
匂い立つ、その人は笹の小枝を持っている。
アメノウズメノミコト・・・。
違う、彼女はもっとマゾヒスティックだ。
もっと肉感的なはずだ。
コノハナノサクヤヒメ・・・。
違う、彼女はもっとサディスティックだ。
彼女は美しいけれど、燃えるような激しさがあるはずだ。
では、この女神は・・・
その女神は美しい曲線美を、惜しげもなく見せながら海の上に立っている。
しずかな水面・・・
オトタチバナヒメ・・・。
ボクは確信した。
大好きな女神のひとり、オトタチバナヒメノミコト・・・。
すばらしい肉体の曲線、エロティシズムの情念の極致。
それに見とれていたボクが、さっと視線をその顔に向けた瞬間、眠りがほどけてしまった。
(ボクは古事記や日本書紀に登場する、数多の女神が大好きだ。日本の女神たちには、ギリシャ神話以上のエロスを感じる。最愛のヤマトタケルの為に命を捧げたオトタチバナヒメに逢えた。映像技術がどんなに進歩しても、夢には絶対に敵わないな)