現代社会に蔓延する禁欲主義・・・。
西洋の宗教的なこの禁欲主義が、ボクたちの国に蔓延っている事には、違和感がある。
・・・などと、独りで考えている。
黄昏時、土石流の爪痕が残る河原にいる。
地獄のような凄惨な景色の中に、光り輝くスペース。
緑の木立に囲まれた、小さな泉はエメラルドブルー。
水面には透き通るような裸身の美女たちが、想い思いのポーズで屹立している。
ポール・デルヴォーの「森の精」のような、静謐にしてエロティックな乙女たちの群れ。
別世界だ。
これがボクの別世界だ。
別世界に戯れることこそ、生きる証・・・楽しさだ。
遊びをせんとや生まれけむ。
戯れせんとや生まれけん。
梁塵秘抄の世界こそが、本来の日本人の世界観なのだ。
この現代こそ、異質な別世界じゃないのだろうか・・・。
そんなことを考えながら、裸身の美女たちの芳しい香りに酔ったように、ボクは更に深い眠りに落ちて行った。
(現代が、あまりにも惨たらしくて別世界を求める人が多いようだ。酒や麻薬や脱法ドラッグなどで、別世界を求める人々がいる。それは遊びではなくて逃避に過ぎない。ボクの言う、本当の世界は創造力・空想力の中に存在している。毎日の夢の中にこそある。)