電車を降り、改札口を出たら雨だった。
時間的には夕刻のようだ。
大きな駅だけれど、どこだろう。
山手線の目黒駅にも見えるし、小田急線の成城学園前駅にも見える。
雨脚がかなり激しくなってきた。
ボクは傘を持っていない。
これからの行き先は認識してないけれど、とにかくバスに乗ろうと考えた。
しかし、バスストップは長蛇の列である。
それではと、タクシー乗り場に行ってみた。
なんと、タクシー待ちは長蛇なんてものじゃない。
列がとぐろを巻いていて、何処が最後尾だか分からない。
しかも、雨脚が激しい。
傘はない。
何処からか、列に横入りしちゃおうか・・・
しかしボクは、途方に暮れ、悪魔のささやきを聞く前に気が付いた。
なんで、雨を嫌がるのだろうか?
晴れ、曇り、雨・・・この大自然の環境の中で、地球の生きものたちは暮らしている。
この三つの気象現象に、好き嫌いの格差を持つのは、人間だけだ。
つまり、驕りの加わった人間だけの判断なのだ。
雨降りなら、濡れることを楽しもう。
そんな心の余裕が欲しい。
ボクは、自分の心の狭さに気が付いて、深呼吸して雨の中に飛び出した。
「俺って奴は、まだまだちっちぇいなぁ・・・!」
(確かに都会人は、ちょっとの雨で右往左往するね。昔の人々は通常のお天気が曇りと雨・・・。これが日常で、晴れは非日常だった。晴れは日常ではない特別な日だった。だから、その日に着る特別な衣服を、晴れ着と言うんだね。晴れ着を着ていない人は、雨の日は大いに濡れて歩こうよ。世の中が少しは変わるかもよ(笑))