テレビスタジオの副調整室
通称サブコン
卑下して屋根裏なんて呼ぶこともある。
でも、本当はここで映像制作の全てをコントロールしているのだ。
ボクは、サブコンのディレクターズチェアに座っている。
目の前には5台のモニター画面がある。
ボクは映像スイッチングの指示を出しながら、演出しているのだ。
作品名は「映像戦争」
これをオセロゲームで表現する作品だ。
60年前、映画とテレビが激しい映像戦争を繰り広げた。
その結果は明白だ。
そして今、テレビとネットの映像戦争が勃発している。
ボクはテレビ国にずっといたけれど、今はネット国民だ。
どちらが勝つか、そろそろ黒白がはっきりしてきた。
戦争をバックアップするクライアントの半数以上がネット国にシフトしている。
モニターのオセロ画面も先行していた黒石が、次々と白石に塗り替わっている。
おっと、黒石が盛り返してきた。
その時である。
白石のたった一手で、盤上の黒石がすべて白石になってしまった。
どうやら映像界はネットの天下かな。
よし、早く起きてYoutubeの打ち合わせに行こう。
なんだか、ワクワク楽しくなって目が覚めちゃったよ。
(今、世界中で戦争状態です。ガザ地区、ウクライナ、アフリカだけではない。日本だって貧困や格差や環境問題・・・様々な理由で戦争状態だ。
そしてボクが今、参戦している文化の戦い、映像戦争PictureWar・・・半世紀テレビ界にいたボクを裏切り者と言うなかれ。過ちを新たむるに憚ることなかれなのだ。)