ねっとりとした闇の中を、滔々と流れる川面
暗い橋の上に人影が・・・
それは釣り師だった。
長竿を鞭のように鮮やかに振って、ハゼを釣っているのだ。
その釣り師の竿が突然、弓のように、いや満月のようにしなる。
大鯉だろうか、草魚だろうか・・・
釣り師が剛腕で抜きあげた獲物は・・・
見たことのない、メタリックな怪魚
そいつが金属音で歌を唄っているのだ。
「おーそーれーみーおー」
怪魚は唄い終わると、ジュージューと煙を出して、単なる金属の塊と化した。
ボクはそれを暗黒の川に投げ捨てた。
突然、漆黒の世界が銀色の夜明けになり、川は海になっていた。
天気は大荒れで、巨大な波が立っている。
よっしゃ波乗りだ。
ボクはワクワクして波打ち際へ走る。
ボクの前の砂丘の斜面を、おばさんたちが乳母車で駆け下りていた。
なんじゃこりゃ・・・
なにがなんだか分からない光景に混乱しつつ、目が覚めた。
(目覚めた時、ボクは布団から飛び出して畳の上に寝ていた。もともと寝相が悪くてベッドでは落下してしまうので和式の布団派なのだ。しかし、暑かったんだね。我ながらすさまじい寝相だ(笑))