ほんのわずかなハエ(南風)の洋上。
ディンギーのメンスルを外し、ジブスルをスパンカー代わりにして、漂っている。
月明かりのラグーンに島影が見える。
ボクのヨットはするすると島に吸い込まれていく。
岩場の一角に洞窟があって、ヨットは躊躇することもなく、入って行った。
洞窟を抜けると、そこは島の中央にぽっかり出来た、天然のプール。
何処かで見た光景。
何度か来たことがある。
ドーナツのように丸く開いたプールの周囲は、純白の砂浜。
ホワイトビーチ。
そうか、ここはグレートバリアリーフにあるハミルトンアイランドの無人島だ。
大潮の引き潮の時だけ、洞窟が姿を見せてくれる。
ホワイトビーチに寝転んでいると、今までに出会った様々な人々を思い出す。
独りで笑ったり、怒ったり、泣いたり・・・楽しい時間と空間。
ボクは、すばらしい人々とつながり、生きているのを感じる。
その人たちに感謝している。
足元が冷たい。
潮が満ちて来たのだ。
身体中の血液が、生き生きとボクの身体を巡っているのが分かる。
パワーが蓄積されていくのが分かる。
満ち潮がボクの身体をすっぽりと包む。
突然、ボクの身体は数億個の星に包まれたように煌めく。
夜光虫の群れがボクに纏わりついたのだ。
このまま、眠りについてしまってもいいかな?
いつ覚めるやも知れない永久の眠り・・・
それも良いかもしれないな。
ボクはそっと目を閉じた処で、飛び起きた。
今日はボクの放送作家集団、RightPocketsをYoutubeに連れて行く日だった。
帰らなくちゃ・・・
わぁ・・・満潮だぁ。
潮が引かなければ帰れない。
早く引いてくれー!
東京へ帰らなくちゃー!
(このホワイトビーチの夢は、3回ほど見ている。ボクの好きな場所で、オーストラリアのハミルトン諸島をヨットで巡った時に、見つけた無人島がモデルになって、夢の中でディフォルメされている。こんなところで死ねたらいいなぁ。ふと、そう思わせてくれるボクだけの島なのだ。)