風の吹きすさぶ停車場には、沢山の紙が舞い散っている。
どの紙にも、びっしりと文字が・・・
手紙なのだ。
誰が誰に出したものなのか、誰も知らない。
それが錆びついた線路の上に、雪のように落ちて積もっている。。
告げたいことがあったのだろう。
教えたいことがあったのだろう。
知らせたいこともあったのだろう。
心を纏った紙が、大空から絶えず舞い降りてくる。
北国の吹雪の夜のように・・・。
静かな停車場の片隅にある、公衆電話ボックス。
毎日、たったひとり誰かが訪れると言う。
昨日もひとり
明日もひとり
今日も・・・今もひとり・・・
その少女は、電話ボックスにそっと入り、躊躇いながら黒い受話器を取る。
そして、一生懸命作った笑顔で、何かを伝えている。
自分は元気で、友達もいて、楽しく遊んで、寂しくないからね・・・
みんな親切で、良くしてくれるし・・・
でも・・・
でも、早くそこへ行きたいな・・・
・・・・・・・・
最後に少女の口元が、5回動いた。
お・か・あ・さ・ん・・・・・
その風の吹きすさぶ、公衆電話ボックスには電話線がない。
(久しぶりにストーリーのある夢だった。あの停車場は何処だったんだろう。青森の十和田電鉄の停車場かなぁ。今、お盆だし、下北半島の恐山あたりのイメージがあったのかも知れない)