何処にでもありそうな、商店街の角を曲がって出くわした。
オジサンたちの群れだった。
みな一応にゆるめのジーンズに黒い皮のベルト。
開襟シャツに野球帽。
メガネをかけて、手にはカメラ。
出っ張った腹にはウエストポーチ。
これが50人もいるのだ。
これだけでも実におぞましい光景だ。
そのおじさんたちが、一斉に数人の若者に説教だの、人生の訓示だのやらかしている。
ボクは逃げるように、その場を後にしたのは、言うまでもない。
ボクは早足で歩きながら考えた。
オジサンが、あの恐ろしいオバサンと違うのは群れないことだ。
ライオンを見ろ、河馬を見ろ、オットセイを見ろ。
動物のオスが群れないのは、オスの本能なのだ。
処が、今見た光景は人間のオスが群れていた。
これが本当の、本能寺の変・・・などと馬鹿なことを呟きながら歩いている。
人間の男が群れないのは、自由とも違う。
独りで、さ迷い歩く放浪の快感が良いのだ。
期待されていないと、自覚している気楽さがいいのだ。
オバサンたちとは人生の哲学が違うのだ。
ああ、実にいやなものを見たものだ。
ボクは、大急ぎでこの街から離れようと、次の角を曲がった。
そこには、大きな、いや、巨大な甘み処の店がった。
ところてん、なんて幟が立っている。
そこに、なんと100人を超すオジサンが、みんなで楽しそうに、あんみつを食べていた。
皆が一斉にボクを手招きした。
ボクは腰が抜けるのを意識しながら、大声をあげて走って逃げたのである。
その自分の叫び声で、目が覚めちゃった。
(最近、社会が高齢化の為か、群れるオジサンたちをしばしば見る。ボクには元々、群れると言う感覚がないので、不思議な想いで見ていることが多い。どうしたら、ボクはあの仲間に入れるのだろうか。まだまだ修行が足りないのかも知れないかな(笑))