コンビニに居る。
ふと…足元を見るとコインが落ちている。
拾って見たら100円だった。
更に…床を見ると・・・
まだ…落ちているではないか。
ボクはしゃがみ込んで、そのコインを拾おうとした。
コンビニの床は、ウッドのタイル張りのようになっていて、その角がめくれ上がり、
隙間にコインが挟まっているのだ。
指で摘まんで引き抜くと、500年玉だった。
おー!やったぜ!
もっと…良く見るとタイル状の角の隙間に、びっしりとコインが挟まっているのだ。
すべて500円玉である。
ボクは、夢中で拾い集めた。
そして・・・
ふと…
不図…
ふと…考えた。
これをポケットに入れたら犯罪じゃんかと・・・
ボクに、ふと…の感覚があってよかった。
ふと…は大事な感性だ。
人間は、ふと…思って気付くのだ。
ふと…のない奴は人生で失敗をやらかす。
うっかり弱い虫を殺してしまってから、ふと…思う。
殺すことはなかったはずだと・・・
この、ふと…が大切なんだ。
大人は子供たちに、このふと…思うことを教えるべきだ。
先生もそうだ。
道徳教育も良いけれど、教育に大切なのは、こういうことなんだ。
ふと…した過ちがなくなるだけで、世の中が変わるのだ。
ボクは、拾い集めた500円玉を見つめて、独りそう想うのであった。
(ふと…漢字では不図と書く。これは当て字だから、中国から伝わった言葉でも概念でもない。我が国固有のものだ。元々は、ふっと想う、思い付くといったことだろう。ふっと…は息を吐くのではなく、吸うときの音だね。ふっと…吐くのはため息だから。)