後楽園ホールだと思う。
客席の下のフロアーにリングが作られ、反対側と左右も仮設の客席だ。
リングだけにスポットライトが煌煌と当てられて、客席の顔は見えない。
ボクは青コーナーの椅子に腰かけ、トレーナーのマッサージを受けている。
赤コーナーには黒人のボクサーがいて、ボクを睨みつけている。
脅しの眼だ。
虚勢の顔だ。
たいしたことはない。
全てはゴングが鳴ればわかることだ。
ボクは不思議に落ち着いていた。
ファーストラウンドのゴングがなった。
レフリーが試合を促す。
相手のボクサーは、姿勢の低いクラウチングスタイルだ。
身体を左右に振って、かなりのファイターと見た。
ボクはオーソドックスなサウスポーだから、ジャブを出しながら相手の左側に廻り込む。
ジャブでけん制しながら、右フックからの左ストレートがボクの戦法だ。
ストレートがヒットしたら、すかさず右フックのボディから顔面へのスイング気味のオーバーフック!
これで、大抵の相手は倒せる。
これまでの試合でも、そうだった。
今日の相手は、ボクに効果的なジャブを打たせまいと、身体をウイビングさせて飛び込んでくる。
往年のファイティング原田のように、手数が多い。
効いてはいないが、かなりのパンチを貰ってしまった。
このままではまずいな・・・
そんなことを思った一瞬をついて、黒人の強烈な右フックが唸りをあげて飛んできた。
ボクは瞬時にダッキングでかわし、がら空きになった相手の右の顔面に、右フックのクロスカウンターを決め、更に左ストレート、右ボディ、左オーバーフック・・・
得意の4連打をお見舞いした。
相手の選手はリングに崩れ落ちた。
やったー!
気持ちいい!
ボクは、ボクシングの試合ではいつでも勝つ・・・。
そう、だって夢だから・・・と・・
夢の中で気付いて眼が覚めたのだった。
(久しぶりに大好きなボクシングの夢・・・シルベスタ・スタローンなら一回殴り倒されてから、起き上がって相手を倒すのだろうが、ボクはいつもあまり殴られずに、勝ってしまう。とても楽な試合が多いのだ。(笑))