なんだか不思議な匂いのする街を歩いている。
古くて汚らしい画廊があったので入る。
歌川広重の浮世絵を見ている。
これは江戸の隅田川に架かる吾妻橋・・・
広重、隅田川八景かな・・・。
大きな帆かけ船が積み荷を満載して行き交い・・・
橋の上には商人や町人がのんびり歩いている。
馬に乗った侍も居る。
江戸が豊かな街だったことが分かる。
画廊の張り紙に。今なら、ここへタイムスリップをサービスと書いてある。
江戸も面白そうだな・・・
でも、今の生活や文化文明が捨てられるだろうか・・・
ボクは即決した。
無理だ、江戸時代には行きたくない。
マスターがもう一枚の張り紙を指差した。
そんな人の為に、年齢を15歳まで巻き戻してくれるサービスがあるらしい。
もう一度青春ってやつだ。
これも、即決でいらない。
ボクは、今の時代が最高だと思っている。
だから、この時代に15歳に戻れたら、どんなに・・・
冗談じゃない。断じて戻りたくない。
これからの時代は、全てにおいて大変だ。
地球上のあっちこっちで戦争もあるだろう・・・
大きな天変地異も起こるだろう・・・
病気、事故、人間同士の憎み合い、騙し合い・・・
今日まで、それらを搔い潜ってここまで生きて来たのだ。
それをまた、15歳に戻れと言われても断じて拒否する。
もう、人生は一度きりで良い。
今、ボクは歳を重ねていることが、最高のアドバンテージなのだから・・・
ボクは、急いでこの奇っ怪な街から逃げ出した。
ふーあぶねーあぶねー
(夢って自分の正論は分かっているのかな。ボクは青春時代に戻るとか、あの頃は良かったとかのノスタルジーは大嫌いだ。ボクは、今が一番良い。
だから、明日はもっと良くなると思ってる超楽天家なのだ(笑))