高層ビルの上層階にいる。
多分、この眺めは29階あたりだろう・・・
すると、ここは六本木の森タワービルだ。
新宿、渋谷、の都会が一握りの塊に見える。
そのずっと西には、丹沢山塊の美しい山並みが見える。
山なみの一番奥には、真っ白に雪化粧を済ませた富士山が、まるで映画のセットのように気高く鎮座している。
ボクが、この景色の中で眼を奪われたのは、幾つかの大都会ではない・・・
丹沢の山々の美しい曲線美だ。
見つめていると、それは山並みの曲線ではなく、青空が描いた曲線美に見えてくる。
更に、それは美しい女性の寝姿・・・
ボディラインに見えてくる。
まるで、だまし絵のように、一点を見つめていると裸の女性が数名、遥か彼方に
横たわっているのだ。
その幻想のだまし絵に、雲までが曲線の美で花を添えている。
エロティシズムは、裸婦自身が放つエロスより、裸婦の曲線が持つエロティックな連想のなかにある。
本来、曲線はエロスの原点なのかもしれないな。
男の本能を意識下に刺激させ、モチベーションを高めるには、曲線をそっと忍ばせるように見せれば良い。
男が購買欲をそそるのは、曲線美かもしれないな。
今、足元を走っている車などは、その極みだろう。
男は、あの車の曲線美に惹き付けられるに違いない。
車のデザインは、そのものがエロスなのだ。
ボクは、遠くの山並みを眺めつつ、独りで合点をしている。
なんとなく結論を出して、満足感に包まれている。
(切り立った直線的な絶壁を登る山男も居るが、柔らかな曲線の尾根道を歩くのが好きな男も多い。山登りがエロティックなスポーツと言ったら、怒られちゃうかなぁ。でも、ボクの山登りはエロスの創造の場なのだ。)