水彩画を描いている。
野川公園のようだ。
鬱蒼とした雑木林に武蔵野の面影をとどめている。
小春日和の暖かな陽光がきらきら光る小川・・・
そこに遊ぶ、6羽の鴨と3羽のカラス・・・
小川の岸辺は、真っ赤な紅葉に染まっている。
千早ぶるほどの唐紅色は、将に神の造形だ。
そこから連なる小さな丘が、、いくつもある。
そのうちの一つに、大きな銀杏の木があり、その全ての銀色の葉が落下して丘を包んでいる。
それは、黄金色の丘だ。
あそこまで走って行って、大の字に寝て見たい衝動が起こる。
ボクは走った。
眼を閉じる。
頭の中が、黄金色に染まる。
気がつくと、ボクは肌の美しい裸婦と白い山羊と一緒に踊っている。
D・H ・ローレンスの「ダンス・スケッチ」の絵画の中にいる。
ボクは踊りながら、気がついた。
「そうだよ、ボクは絵がへたくそなんだ。」
「水彩画など描ける訳がない」
「ボクが出来ることは、シュールな世界で踊る事さ」
隣で踊っている、角が真っ黒な山羊がうなずいて見せた。
そう、ボクの本質はシュールなエロスでいい。
機会文明に蹂躙されている現代人には、美しいエロティシズムが必要なのだ。
人間で在ることを失わない為に・・・
(夢は本当に不思議だ。ボクは全く水彩画など描けない。描いた事もない。
でも、夢の中では描けている。構図もしっかり出来ている。不思議だけど、それを究明しようとは思わない。夢は不思議なままでいい)