背中にぬるい午後の陽ざしを浴びて・・・
その少女は、ピンと張った頬がまだ硬そうで・・・
勝ち気そうな黒い瞳を絶えずキラキラさせている。
少女の小指は、押し込んだとも、吸われたともなく・・・
歯茎に触れた刹那・・・
歯の隙間に滑り込んで・・・
やがて柔らかな舌に包みこまれた。
・・・そんな物語の冒頭が浮かびあがる。
饒舌な瞳・・・
戸惑った唇・・・
感情の起伏・・・
胸の彼方の去来する想い出・・・
長い髪の中の昔日の憂い・・・
識りあったふたり・・・
曖昧な記憶・・・
ボクは、少女に視線を合わせて、息を吸い込む。
そして・・・
だめだ。
先刻から待ちうけていた言葉が、咽喉もとで消えた。
頭じゃ理解できない、もっと深いものが欲しい・・・
(目覚めて、夢の記憶を書きなぐる。読み返しても自分の思考回路がよく分からない。夢の中では分かっていたのに・・・。ボクの分身は、面白い奴だなぁと思うひと時・・・)