突然、オリエントの風に運ばれた雪が舞い散り
冬の海は群青色に染まっていく。
楽しかった海が眠っているが如く、息を潜めている。
独りたたずむボクに、その風が耳打ちする。
「戦争が近い・・」
70年余・・・
想いを巡らせる・・・
ボクの人生は平和そのものの中にあった。
しかし、今・・・
この胸騒ぎはなんだろう・・・
「戦争が近い・・・」
ボクの知らない戦争・・・
ボクたちの身の周りを、八重垣で囲まれていた平和のヘッジファンドが、崩れようとしている。
戦争は元々、民族や宗教や文化や国家の戦いだった。
20世紀までは、そうだった。
21世紀は、様相が変化している。
この変化に、世界の人々が気付き始めた。
世の中が、豊かになるほど、法律や規制や差別が増え、日常が不自由になっていくのはなぜだろう?
それは、格差だ。
世界の人々の生活の格差・・・
これが、SNSの情報で一気に共有されたのだ。
それが、人々の文明の格差となって、紛争が起き、戦争へと繋がって来た。
フランスで起きた事件の、原因を精査しようとせず、先進各国首脳が挙って参加した反テロへのデモ行進・・・
これを垂れ流すマスメディア・・・
この異常事態は、将にもう一方への宣戦布告じゃないか・・・
群青色の海を見つめながら、ボクのDNAがそう呟いていた・・・。
(中世の世界戦争も人類の文明格差だった。それを再び繰り返してはいけない。
こんな時こそ、世界の国々とは違う価値観を持つ、日本の出番ではないだろうか。
自国の自衛権などより、もっと討議すべき事案が政治にはあると思うのだけれど)