冬の冷徹な天空に、銀河鉄道の電車が停まっている。
一両編成の安普請の電車だ。
そこに、男がひとり、ふたり、さんにん・・・
乗りこんでゆく。
どの男も、うつむいて無言で乗りこんでいる。
小さなバッグひとつで、男たちは、家出をしてきた。
今までの、自分の人生に決別をしてきたのだ。
遊行の旅・・・
人生のすべてのしがらみを振り捨ててきた。
愛する人々さえも・・・
男なら、一度は考える漂泊の旅路・・・
その先にある、何かを求めて流浪を続ける。
夢の銀河鉄道に乗り込んできた、男たちは・・・
曇りガラスを手でぬぐって、もう見える筈のない自分の街を探している。
小さな決断をした男たちを乗せた夢の電車が走る。
小さな駅に着くたびに、男たちが降りて行く・・・
ひとり、ふたり、さんにん・・・
その停車場の駅名は・・・
住み込み・飯付きのパチンコ屋・・・
飯場の寮・・・
場末の呼び込み・・・
地下鉄の段ボール・・・
男たちは気付く。
夢の銀河鉄道の行く先は・・・
自分が捨てて来た筈の現実と、地続きであることを・・・
嫌と言うほど、世の中のリアルがコートの隙間から入り込んできやがる!
(最近、電車に乗って感じることがある。車内の空気感・・・寒い・冷たい・空虚と言ってもいい。みんな下を向いて他人の顔を見ようともしない。
せっかく何かのご縁で乗り合わせた電車じゃないか・・・もう少し大切な時間にしようよ。と、ひとりで思うことがある。)