大海原に小舟を浮かべ、独り佇む・・・
南風(はえ)が吹いてきた。
間もなく低気圧が生れて、海が荒れるだろう。
小魚たちも、深海に潜る前にプランクトンを食べるのに忙しい。
彼らにも生きる希望があるのだ。
その小魚の群れを上空のウミネコたちが襲う。
彼らにも明確な生きる目的があるのだ。
ボクは独り、大海原の四方を見つめてツイートする。
「陸地はないな」
大海原を見つめて陸地はないと判断するのは、優れた探検家ではない。
その探検家には、希望も目的もないからだ。
ボクは今、迷っている。
このまま、波に任せて西の国へ流れて行くか・・・
希望を持って、もう一度陸地を目指して櫂を漕ぐか・・・
迷いが突然に、やってきた。
もう、人の為に生きるのはやめにしたい・・・
もう、充分そうしてきたじゃないか・・・
人の評価など、どうでもいい・・・
この十数年・・・
ボクは人の為に行動してきた・・・
情けはひとの為ならず・・・
いや、そんな自分だけのつもりもない。
いろいろな人の為にやってきた・・・
でも、人生のファイナルは、我がままに自分だけの為に生きて・・・
それでいい・・・
それがいい・・・
夢に描いていた遊行の旅・・・
さぁ、船の上で大の字になって、潮の流れに任せよう。
そんな決意をしながら、ボクの両手は力ずくで櫓を握りしめている。
(先週はボランティア活動が続いて、こんな幻想を見たのかな。人生の多くの時間をボランティアに費やすボクを、もう一人のボクが見つめている。確かに全てを棄てて遊行の旅には出たいけれど、もう少し先かなぁ・・・)