都会のカフェの片隅にて・・・
こんな風に、こんな場所で考え事をするのは珍しい。
CF制作の依頼が、突然舞い込んで来たのだ。
クライアントは女性のアパレルメーカー・・・
ボクはそのコンテを考えているのだ。
ボクに依頼が来ると言うことは・・・
クライアントは平凡な作品は望んでいないのだろう。
よし、女性心理の深淵に潜む欲望を揺さぶってみようか・・・
ボクの得意なジャンルだ。
エロティシズム・・・
女性の心の深層に潜んでいる性の欲望を具現化するのだ。
小説だって、絵画だって、映画だって・・・
この女性たちの無意識の中の意識を提示するのがアートなのだ。
ボクの好きなシュールな画家、レオノール・フィニの「現在の彼方」・・・
男性の象徴と想わせる大砲にしがみついた女性が、宇宙に飛び立って行く。
CM制作の基本は女性のエロティシズムだ。
クリエーターはそれを意識して作っている。
女性のセミヌードや媚態は、単純な男を惹きつけられる。
しかし、感覚的な女性はそうないかない。
もっと、深層心理に突っ込まなければ・・・
ボクは、製品のロゴマークを象にした。
エレファント・・・
その象の鼻を、ピーンと上に立てたのだ。
象の目は、豹のようにシャープにした。
これ、良いかもしれない・・・
ボクはカフェで自己満足の世界に浸っている。
(確かに短い秒数で、見る人の心を捉えるCM制作には、エロティシズムは外せない。
小説も映画も音楽だってそうだ。
でも最近、どのジャンルにもそんな作品が少ないのが寂しい。クリエーターたちも人生に余裕がないのかなぁ)