なんだか粋な三味線の音が川面に流れている。
大川端の春の宵は、値千金・・・
吾妻橋の欄干にもたれる男が独り・・・
都知事を首になった猪瀬直樹さんか?
最近は亡くなった奥さんや東北の被災地をネタに小説書いているようだが・・・
あざとさが嫌だな。
ボクは彼に話しかける。
FB友達だからね。
「あの鋭く社会悪に切り込む、猪瀬が読みたいよ」
「イッヒ・バイス・ニヒット」
突然、ドイツ語の返事が返って来た。
猪瀬直樹はフランスの経済学者トマ・ビケティだった。
フランス人がなんでドイツ語で?
そんなこと、気にする男ではない。
「ビッグリバー大川端のこっちは富裕層、向こう岸は貧困層だ、OK?」
「ビケティさんよ、日本で米国流の格差社会を論じても無理だよ」
「ホワイ?」
「日本の格差の原因は資産だけじゃないよ。人種差別も関係ない」
「マイ21世紀資本論は間違ってるの?」
「ああ、大間違いだ。この日本では・・・。」
「だけど、アベノミクスはベリーオールドスタイルね!」
「それは認めよう。アベノミクスは20世紀の遺物、原始資本主義だよ」
「あなたは、日本の格差の原因はなんだと考えるのか?」
「ビケティ、日本人社会はね、上司と部下、経営者と労働者、先生と学生、年上と年下、もっと言えば男と女・・・この全ての関係が加害者と被害者の関係になっていることさ」
「ウーム・・・神はいないのかい?」
「神はいるけれど、いない」
「ウーム・・・」
トマ・ビケティは再び考え込んだ。
(寝る前にビケティの本を読んだら、こんな夢になった。彼の資本論は日本では難しい。20世紀の日本の資本論には道徳がベースにあった。21世紀には稀有になった。
政府は、道徳教育の復活と言うけれど、文部科学大臣の大先生が道徳を分かっていないのだ。経済人も政治家も、もう一度論語でも読んだら(笑))