河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

「俺、死んで良かったよ」 マリオは笑って言った。

久しぶりに、親友のマリオとゴルフの打ちっぱなしにいる。

本当に、久しぶりだ。

マリオは世紀末に自殺したのだから・・・

でも、なぜだ?

なぜなんだ?

とは、ボクは聞かない。

他人の人生観なんて、本人以外は分かりゃしないのだから・・・

ただ、みんな分かった振りをしてるだけだから・・・

「21世紀が、こんなになるとは思わなかったよ」

マリオが、例の人懐っこい丸い目で言った。

「無知な政治家、独善の経済人、狂った街、野蛮な大人たち、民衆の憎悪、知識人の無関心・・・」

そう言いながら、マリオは溶けていった。

ハンス・ベルメルの清濁が混沌とする挿絵の中に・・・。

「俺は、先に死んで良かったよ」

マリオは、そんな呟きを残して・・・

確かに、マリオと遊んだ20世紀は、まだ世界中に民主主義の姿があったよ。

人々の知性や理性が、暴力を越える力があったよ。

世界中の女性たちや子供たちが、その平和に夢を託す姿があったよ。

21世紀・・・

それが、見果てぬ夢であることに気付いてしまった。

あきらめの空気が、世界の空を覆っている。

ボクは、マリオの自分勝手な自殺を、とても責める気にはなれない。

(マリオは、ボクの数少ない親友のひとりだ。彼は新しいものが好きで、六本木に日本初のディスコクラブやカフェバーを造った男だ。二人で一世風靡セピアのプロデュースなどで暴れたなぁ。マリオが生きていたら、きっと毎日、時代とケンカばかりしているだろうな。)