河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

私の心、ひとつに包んでおくのが切なくて・・・と、女が言った。

無人の美術館の中のようだ。

出光美術館のように、小ぢんまりとした気風がある。

小さな裸電球に照らされた空間・・・

展示されている絵画は、全て女性が描かれている。

宇野千代の小説から出て来たような和服の女は、山本陽子に似ている。

隣の額縁からは、嵯峨三智子似の妖艶な女が、ボクを見つめている。

どちらも、恋多き女・・・

男の世話を焼くことが好きな女・・・

結婚などは考えず、素敵な男たちから学んだものが・・・

心にあるから幸せな女たち・・・。

いつでも、獲物を狙い続ける女たち・・・。

しかし、どうやらボクが探している女性ではない。

その時である。

突然、誰かに呼ばれたような気がした。

無人の美術館に人の気配はない。

でも、確かに呼ばれている。

ふと、振り返ると・・・

そこに、一枚の絵が・・・

それは、小柄な老婆の顔が・・・

「ボクを呼びました・・・よね?」

絵の中の、老婆が頷いた。

「私の心、ひとつに包んでおくのが切なくて・・・」

「・・・思わず口に出たのでございます」

ボクと視線が合うと、その老婆はみるみる若い女に姿を変えた。

ボクは、彼女を知っている。

太田垣蓮月だ・・・。

幕末の世に、絶えず言い寄る男が絶えなかったと、言われた女・・・。

二度、夫を迎え、5人の子供が・・・

しかし、全員が早死・・・

蓮月は、世をはかなんで尼さんに・・・

しかし、男が次々と現れる・・・

遂に蓮月は、自らの歯を全て叩き割って、老婆の顔を造ったが・・・

85歳まで、男にもて続けたと言う。

絵画の中の女は、再び老婆になっていた。

もう二度と、ボクと視線を合わせることもなかった。

(夢はいいなぁ。あの幕末のもてもて女性、太田垣蓮月に出会えるなんて・・・。

あの美術館も良かったなぁ。出来たらまた、訪れて見たいものだ。今度はどんな絵が展示されているか、楽しみだ。ああ、早く寝たい、夢を見たいから…(笑))