ビルの屋上に巨大な黒い塊り
それはねっとりとしたコールタールのようだ
ビルの下では、ボクともう一人…
どう見てもアントニオ猪木なのだが…
ふたりでビルの上から流れ落ちるコールタールのようなものを手繰っている
それは乙女の黒髪にも似て、素晴らしい漆黒の艶がある
アントニオとボクは、一生懸命に黒髪を手繰っている
「はい!やめー!」
「ボツだ!」
何処からか監督の声がした
これはシャンプーのCM撮影だったのだ
「だめだ、こんな作品じゃ売れない」
「ステマだよ、ステマ…今の時代はステマだよ」
ステマ…ステルス・マーケティングか…
如何にも第三者が作ったようなCMと思わせない広告宣伝…
海の岩場に裸婦が座っている
長い黒髪が乳房の横を流れて、秘部を覆っている
アルベルト・マルティニの描くシュールな女性のように…
彼女は丸い筒を握りしめている
周りの岩も円筒形をしてる
沖のヨットも円筒形だ
円筒形は、女性の意識下にある男への憧れ…
円筒形は男のエロスの象徴なのだ
これを握りしめて黒髪を大海に洗う・・・
これぞステマだ
これからのCM作り…女性購買層にはエロスを作品に潜りこませよう
面白いステマがいくつでも出来そうだ!
と、喜び勇んだら目が覚めちゃったよ(笑)
(確かに、女性用の化粧品の容器は円筒形のものが多いね。これは女性のエロスを刺激して手に取らせようとする発想だ。コマーシャルに登場する象の鼻が、決まって上を向いているのも、購買層へのエロスの刺激効果だよ)