窓を開け放つと闇夜だった
漆黒の世界の中に一筋の光明が浮き上がっている
ボクの進むべき進路を示しているような気がする
ボクは一歩、闇の中に身を投げた
鬼面の美女が一瞬にして早乙女の優しさに面変りするように…
ボクの世界がポール・テルヴォーのシュールな絵画のようにひらけた
森の精たちが艶めかしい姿態を美しくさらしている
ボクは念願の遊行の旅に出たのだ
遊行…人生の最後にはあらゆる人間関係を振り捨て、社会生活から離脱する
想いのまま、気のままにあても作らずに生きるのだ
人とつながり、社会に組み込まれて自分の存在感を示さなくても、いいのだ
別にネット社会のように他者を排除するのではない
自分から、そっと離脱するだけだ
ボクは決めている
人間のエロスが極めて自由な処へ行くと…
エロスの翼で大空を自由奔放に翔るのだ
宗教的な絆などなかった、あの中世以前の自由な場所へ行くのだ
エロスの抑圧からの解放だ
サディスティックなエロス…
マゾヒスティックなエロス…
さぁ、仲間たち…
しかし、あれっ、この野原には誰もいない…
突然、強風が吹き荒れ、雨が激しく落ちて来た
窓を叩く、爆弾低気圧の音で遊行の旅から戻っちゃった (笑)
(惜しかった(笑) もう少しで心行くまでエロスの世界観を堪能できたのに…。
遊行の旅、別にエロスとは決めてないけれど(笑)、ボクの人生の最後は遊行の旅にでる
と決めてある。)