春画に取り囲まれている
歌麿も春信も北斎も…
鮮やかな色彩の中に、生きる喜びがみなぎっている
春画は、その行為ではなく、描かれている女の表情にこそ耽美がある
その時の女性の美しさに勝る耽美はこの世にはない
気がつくと、ボクの傍らに白髪の老人が立っている
なぜだか老人の歳が88歳だと直感した
ピカソ…
まさかとは思うがピカソだ
ピカソは日本の春画のコレクターなのだ
彼のエロティカな作品は春画を源流としている
ピカソは歌麿を凝視し、一粒の涙を落した
時代の圧迫に反抗した同志に寄せる涙…
押さえつけられていたアーティストだから共有する想い
エロスへのにじむ想いの激情
エロティカは時代の圧迫への反抗なのだ
歴史上、時代がひとつの終末期を迎える時にエロティカが強く浮上する
押さえつけられていたアーティスト達が、一斉に蜂起する
エロティカこそ圧迫への反抗だ
今こそ、その時だ
あれっ、ふと気がつくと春画がない
ピカソもいない
ここは…ボクは国会議事堂前に独りで立ち尽くしていた
(エロティカとポルノグラフィーはまるで違う。今こそアーティストたちが行動してほしいと思う。絵画、動画、小説、散文…最近、春画展に若い女性たちが詰めかけているニュースがあった。いよいよ来てるかな、時代が。)