坂東太郎・大利根の流れは滔々と…
十六夜の月光が矢のように射しこんでいる
将に値千金の夜半である
どこで鳴らすか鐘の音が陰に籠って物悲しく
それに呼応して鋭いヨシキリの声
河原の葦の湿原から、それらにも増して鋭利な気合い一閃
そこにはざんばら髪の浪人侍がいた
穏やかな面構えにも眼光は月光よりも鋭い
彼は七枚合わせの金重の鯉口を切った
刃の閃光が月光さえ蔑ろにした
この剣構えは二天一流
宮本武蔵だ
彼は金重を抜き放つと…
「千日の稽古を鍛とし…
万日の稽古を練とす」
と言っているではないか…
武蔵が剣道の極意を端的に表した五輪書そのものだ
これはボクがずっとこの35年間、実践している彼の教えだ
万日の稽古が練…
それ、実践してます
師匠、もっと奥義を、奥義を…
と叫んだら、自分の声で目が覚めちゃった(笑)
(ボクには師匠と呼ぶ人はいない。強いて挙げれば宮本武蔵かも知れない。
特に五輪書の「千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を練とす」の言霊は忘れたことがない。万日とは10年単位の稽古だ。何事も10年続けると、千日とは格段に違う質の高い技が身についているものだ。ボクは遊びも仕事も全て武蔵流なのだ。)