なんだか知らないが、愉しい気分で目を開ける
突然、鼻の奥まで沁みわたる氷河のかほり
天空には真っ白な光線がクロスに輝いている
朝の陽光だ
ボクの足元の小さな岩石
それはボクの山のてっぺんの印…
ボクはボクの山の頂上に立っている
周囲の峰々、山々も冠雪して美しい
どこまでも続く青空には、銀色の雲がたなびいている
ボクはボクの人生の頂上に来た
でも、それが人生の終わりではない事を知った
ボクの足元から、緑にあふれた下りの道が延々と続いているのだ
ボクは即刻、下山を始める
なんだろう…
このスピード感…
楽しい事が次々と現れるので、走ってしまうのだ
どんなに走っても疲れない
嫌なことがどんどん素通りして消えて行く
嫌な奴もまた然り…
好きなものと好きなだけ遊べる
様々な景色を見つめる余裕もある
路傍の草花にも、小さな虫にも微笑むことができる
これが人生の下山ってやつなのだ
登山には頂上と言う終末の目標があるけれど、下山にはない
下山の道のりは無限なのだ
ボクは幸せと快感に酔いながら、下り坂を駆け降りている。
(ボクの頂上の山はごつごつした岩と氷のように硬い雪に覆われていた。
でも、下り坂には満開の花と美味しい石清水と小鳥の唄声に満ち満ちているようだ。
これから、素敵なボクだけの人生が延々と続く。人生の終末期は楽園でありたいね。)