ピタピタピタピタ…
ゆりかごのような心地よい揺れと
母の鼓動のような音に目をあけると
そこは無人島だった
なぜそう思ったか…
ボクは無人島に漂着した空想をするのが好きなのだ
ボクが漂着した小さなホワイトビーチ
彼方には椰子の木のジャングル
野鳥の甲高い声が響いて来る
ボクはまるで「キャスル・アウェイ」のトム・ハンクスのように島を歩きまわる
トムは孤独を紛らわすために、持っていた恋人の写真に話しかけていた
ボクはなぜだか画家を探している
周りの雰囲気からしてポール・ゴーギャンがいそうだから
彼は絵画の為に安定した生活を棄てて来た
島の中央部の密林を掻き分けると…
背中を向けて男が絵を描いていた
原色の黄色、藍色、青が特徴的な島の娘を描いている
ゴーギャンだ
その横で原稿を書いている男…
サマセット・モーム
「月と6ペンス」
「毎日、自分の嫌なことを2つ行うのは、魂の為に良い事だ」
ボクは若い頃、モームの本を読んでこの言葉に感銘を受けたんだよ
月は夢を…
6ペンスは現実を…
さて、今回のボクの漂流記は何をしようかな…
考えていたら夢の中で熟睡に入ってしまった(笑)
(ボクはひとりになることが好きだ。ひとり遊びも大好きだ。
でも、孤独は嫌いだ。ひとりと孤独は全く違う概念だから…。古来より罪人に与える刑罰で拷問刑より辛いのが独房に閉じ込める孤独刑だった。若者がひとりになりたいのは良いけれど、孤立しては駄目だ。)