記憶の海にふと黄泉帰る小さな出来事
人それぞれに、隠れた物語りと涙がある
人生の陰影を深々と見つめて
遠い昔の懐かしい匂い
男と女 父と子…
人それぞれの愛憎と喜びと悲しみ…
華麗なものを映して淡く
時に軽く また重く
毒を含みながら迫る
人はみな、様々な夢に身を焼きながら生きる
この国の風土と慣習の坩堝の中で
人生の深い真実と熱き感動
清々しく生きたいと願う、その姿に
優しい眼差しが降り注げばいい
些細にして微弱なものの気に振り返れば
悪魔が壁の中で眠っている
幻影の人は去り、旅人は帰らず
東洋的情念 哀愁 無情が混然一体となって
野川の畔小径を独り逍遥する
放浪の夢 薄れて
春はまだ微かに
石の隙間に蒼い芽を隠しているのみ…
(季節の変わり目には、なんとなく歩き続けていたい想いがある。
独歩と言うのか、逍遥と言うのか…日本語の表現の豊かさに身を沈めて…歩くのが楽しい。)