桜色の川筋の緑なす草に座る
遠く金色の菜の花畑を見つめて思う
ボクは一体、何を守りたいのかと
ふと、八木重吉の短い詩が浮かぶ
わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
こうして 草にすわれば それがわかる
自分の間違いを認める時
何となく感じていても
それを断定するのは辛い
心にディフェンスの鎧を纏う
そんな時、八木重吉の琴の音が聞こえる
琴は彼の素朴な美しい言葉だ
わたしのまちがいだった
わたしの まちがいだった
二行目の、わたしの の後は大きく息を吸って吐く
すると、魔法のように心の中に
素直な気持ちが甦ってくる
詩人の言葉の力に感動する
ボクは今日も草に座して
宇宙を飲み込むほどに
大量の大気を吸い込み吐き出した
(八木重吉の手になると、言葉が琴の音に代わる。一枚の葉っぱも石ころも虫たちさえも。ボクは素直になれる最上の言葉装置を持っているのだ。)