汚れっちまった悲しみに
今日も小雪の降りかかる
汚れっちまった悲しみに
今日も風さへ吹きすぎる
悲しさを時に美しいと思う
透明感があるのだ
涙の結晶としてのイメージかな
中原中也の悲しみが汚れるほどの
魂の咆哮はなんだろう
彼は17歳にして年上の女優に恋をした
山口から上京して同棲していた
しかし、愛する女優は
親友小林秀雄の元へ去る
汚れっちまった悲しみとはこの事だ
中原中也のもうひとつの詩には
恋人よ
お前がやさしくしてくれるのに
私は強情だ
夕べもお前と別れてのち
酒を飲み、弱い人に毒づいた
今朝、目か覚めて
お前のやさしさを思いだしながら
私は私の汚らわしさを嘆いている
男の心情としては分かるな
ボクの生き方とは余りにも違うけれどね
汚れっちまった悲しみに
痛々しくも怖じ気づき
汚れっちまった悲しみに
なすところもなく日は暮れる
(中原中也の余りにも未熟というか早熟な恋物語り。彼は自由奔放に人生を駆け抜け30歳で逝ってしまった。だから時に胸に迫るものがあるんだな)