河村シゲルの夢か現か日記

夢は自分自身で創る芸術作品、脚本・演出・セット・キャスティングなど全て1人で担当してます。「無意識の思考を意識に伝えようとしているのが夢」だと、あのフロイトが言っています。ボクは最近、夢を毎日見ています。だからもう一人の自分探しの旅のつもりで夢日記を書き続けることにしました。

マタギ 野性の目覚めの中で

荒ぶる西風が、やっとたどり着いた
初夏の香りを吹き飛ばす
山肌が晩春を取り戻した
終の一陣の風のなかに命が芽生える
仕舞っておいた過去が顔を見せるように
幸せは、あくまで希望
手と手を合わせて線を描き
地上の陰と陽を、掻き分けて歩く
突然現れた山深き林道
ボクの前を行く男ひとり
村田銃を肩に下げ
弓手に鋭い槍を掲げている
マタギだ
磐をも貫く鋭い眼光
獣にも悟られない静かな呼吸
万本の花の中にさえ
狙いを嗅ぎわける嗅覚
常に激しさの中で下す判断は
相手の幽かな微動の兆しにさえ
鋭敏に感応する
いつしかボクはマタギに同化し
一体と和す
マタギの山の掟が身体を巡る
山の中では日常の話をするな
会話は山言葉でせよ
猟の前では、女と話すな
山の神は嫉妬深き女神なのだ
必要な時だけ熊を殺れ
熊鍋にはネギとキノコは使うな
以上、神との約束は死ぬまで守れ
山から命を頂いているのだから
そうか、そうだよ
ボクの血潮はマタギの血統
運命を忘れていた
夕暮れの淡き森の光のなかで
(山から命を頂くマタギ。海から命を頂く漁師。里から畑から川から命を頂く様々な民。都会の暮らしに追われ、人間の本質を失念していた。ボクたちは、あらゆるものから命を頂いて生きているのだ。)