適当に込んでいる電車の中・・・。
ボクは座って、何気なく乗客を観察している。
いつものことだ。
物書きにとって、電車の中は恰好のネタ集積場なのだ。
無表情でスマホに夢中な会社員
大声で世間話の、おばさん軍団
物憂げな女子高生
テキヤの風貌をしたおっさん
缶コーヒーを持ちこんんでいるOL
いつもの風景だ。
そこでボクは開発したばかりの、鬼を見つけるグラスを装着した。
あの話題のgoogle glassとは違うし、模倣ではない。
やはり、ウェアラブルコンピューターではあるが、ボクの発明したメガネは鬼が見えるのだ。
昔々、鬼は鬼ケ島にいた。
いつも群れていたから、分かり易かった。
鬼が邪魔なら、鬼ケ島に鬼退治に行けば良かった。
しかし、現代は鬼が街に住むようになった。
しかも、善良な人間と同じ姿をしている。
人間社会で、犯罪が起きるのは全て、鬼の仕業なのだ。
だから、鬼と分かっていれば犯罪も防げるはずなのだ。
そんな訳で、ボクはボクの鬼メガネで、車内を見まわした。
びっくりした。
なんと、なんと、全員が鬼なのだ!
泡食って飛び起きた。
(鬼グラス・・・なかなかいい発想だ。これで犯罪が防げるなら、どなたか開発してください。言いだしっぺのボクはやるきがありませんが(笑)まぁ鬼ってのは、善良な人間の中に住んでいる、荒魂だと思うけれど…)