夏の鋭利な早い朝
稲がゴクンゴクンと水を飲み
穂の先が天を指して伸びていく
風さわやかに里山の田んぼの水が
自分の役目を果たしたように
さらさら小川に流れ込む
入り江に映える黄金の夕陽
小さく細やかな潮騒のつぶやき
今夜も闇夜の海のひとり歌
夜光虫の音符の煌めき
月光が波に千々に砕けて
天然のプロジェクションマッピング
ほろ酔いの魂には
お誂えの良い月夜
朧の瀬音の畔には
苫屋の灯りが暖かい
そこでは老婆が夜もすがら
夜なべ仕事の網の糸
結んで繋いで織り込んで
楽しく夜風とひとあそび
男は月夜に舟を漕ぎ
小さな里をあとにして
自分の居場所を探すのか
ギーコギーコと櫓が軋む
(何のコンテもないままに、思い付いた一行をたださらさらと書いてみた。空白の頭のなかに夏の一日が通りすぎていった。)