2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧
夜明け前、窓のレースカーテンをそっと開けてみる。 東の空はダークパープル・・・ 希望の光に満ちている。 毎日、命を削って生きている人は、夜明け前のこの光が希望・・・ 「ああ、また一日、生きていられる・・・」 あと、一日の訪れに感謝する。 本当は…
弓のように綺麗な曲線を描く砂浜・・・ 鵠沼の海に来ている。 江の島の辺りから、または反対側の茅ヶ崎の辺りから見ると、本当に美しい。 気絶したい程に美しい女性のボディラインのようだ。 ボクの大好きな浜木綿の砂山・・・ そこに大の字に寝転がって、蒼…
古い赤レンガ造りの倉庫・・・ 鼻にしみる油っぽい潮風・・・ タグボートが出す低音のエンジン音・・・ 港町・・・ 倉庫の脇の道を歩いている。 アスファルトの上に、細かな砂利が積もっている道。 それを、ギシギシと踏みながら歩いている。 ボクの眼が、そ…
彼方の荒々しい岩山から続く道は、大草原を横切っている。 秋の日の、陽なたくさい枯れ草の匂い・・・ これがボクのシルバーグレイの空間だ。 何処からか、忍び泣くような胡弓の音が流れてくる。 このシルバーグレイの空間には、人々の涙や笑い声や呟きが、…
限りなくブルーに近いパープルの夜明け その天空のキャンバスに描かれ、輪郭が鮮明になっていくのは・・・ シュールの画家、フェリックス・ラビスのような裸婦。 エロティシズムの極み・・・ 大きな瞳は、鋭く何かを射抜いているようだ。 裸婦は何を告げたい…
夕刻、物陰から一斉に影が這い出してきて、闇に染めて行く。 生命の苦悩と陶酔を、ふと感じる時だ。 ボクの周囲に秋の夜風がやってきて、汗にまみれた身体に巻きつく。 路上のカフェテラス・・・ ビジネスマンが、煙草の火をもみ消して、それでこの議論終わ…
樹の実が色づき始めた。 木々の葉が微妙なグラデェーションに染まっている。 秋の色を感じながら、お気に入りの小道を散策している。 去年の落ち葉が積もって、ふかふかの絨毯の道にキラリと光るもの・・・ それは、メガネだった。 ボクは、それを着けた。 …
濁りが全くない蒼い天空・・・ 眼下に広がるのは、新宮の街並み・・・ ここは、もしかしたら神倉神社・・・和歌山の・・・。 確かにボクは、御神体のゴトヒキ岩の上に立っている。 絶壁の上である。 ここまで来るのに、荒々しい588段の石段があった。 枯…
地下鉄の日比谷線だと思って乗った。 乗った駅は、左側のドアーが開いた。 次の駅では右側が開いた。 ボクは六本木と神谷町だと思っていたが、どうやら違うようなのだ。 真っ暗な洞窟を疾走する電車は、なんだ・・・ いつまでも、この二つの駅の間を轟音を轟…
麹町の番町ハイム9階 ボクの仕事部屋 隣の建物は日本テレビ本社だ。 原稿書きの合間に、ふと窓の外を見て驚いた。 眼下が大洪水になっている。 慌ててスマホで災害情報を・・・。 東京が沈没して、大変な事態になっている。 原稿に没頭して気が付かなかった…
ボクはGoogle Glassを着けている。 ウェアラブルコンピューター内臓のメガネだ。 小さな小さな街の駅前のビルが見える。 数百メートルはあるだろうか、大勢の人が並んでいる。 iphone6を買うのだそうだ。 ボクはアンドロイドを使っているから言う訳ではない…
時間があったので、六本木のおしゃれなパチンコ屋にふらっと入る。 女性従業員が水着だ。 風俗型パチンコというらしい。 まず目についた派手な台をゲット。 スーパーマリオのおじさんが、打った玉をキャッチして、絆創膏を張るのだ。 張られた玉は、スーパー…
ボクの頭の上には、鳥の巣が乗っている。 見方によっては、空気清浄機の丸いフィルターにも見える。 ボクのヘアースタイリストである中山先生がデザインしたものだ。 結構、アバンギャルドで気にいっている。 それに、この部屋の壁や床は、びっしり柔らかな…
大都会・・・ NYのウォールストリートか・・・ そこに中世の石造りの館がある。 うす暗い玄関に架かったプレートには絶滅技術研究所。 ボクはそっと中に忍びこんだ。 最初の部屋では、白衣の科学者が遺伝子組み換えで、ネズミを牛にしている。 これからの…
無為の丘に立つ遊女・・・ 自堕落な着付けから覗く白い肌・・・ 何に抗うわけでもなし・・・ 無表情のまま、北の故郷に向かい唄う・・・ 「色は匂へど 散りぬる我が身 この世のあわれ 誰が知る 飢えの奥山 涙で越えて あさき夢みし 凝りもせず。 色は匂へど …
真っ暗な山道の際に、古びた三間流れ造りの神殿 ふたつの篝火が夜空を焦がすように赤々と・・・ 笛と鼓の単調な調べの中で、白無垢の巫女が舞っている。 それは神を天から、呼びおろす舞いなのだ。 その巫女舞は、右に三回、左に三回・・・ これを繰り返して…
秋の海へ来た。 夏の狂おしい程の喧騒が去った、秋の海はいい。 十六夜の月明かりが、漆黒の海面に一筋の道を創っている。 ボクは、その月の道に泳ぐ。 いつしか月光は、海中に潜行しボクも海人になる。 ボクは左手に銛を握り、皮のパンツを履いている。 大…
秋の浜辺を歩いている。 右手に烏帽子岩が見えるから、鵠沼海岸だ。 潮の香りの強い渚に、何かが流れ着いていた。 それは赤いフレームのメガネだ! ボクは、それを拾い上げ、そっと着けてみた。 辺りは全てボケて見える。 フォーカスが合わないのだ。 ところ…
なぜだか、ガラパゴス携帯を見つめている。 アドレス帳をスクロールする。 重たい空気が、心を圧迫して来る。 時々、フッとボクの命令ではなく、ボクの指が勝手に留まる。 それは突然、逝ってしまった親しい人の名前・・・ その人との・・・楽しかった日々が…
道に迷って、たどり着いたのはジャングルに囲まれた小さな村。 樹の陰から、そっと覗くと・・・ 村人たちが、大騒ぎしている。 お祭り・・・ そうでもなさそうな雰囲気だ。 村の広場の真ん中に、大木が一本。 そこに、大勢の村人がよじ登っている。 それは、…
値千金の月光に染まっている。 この美しい草原の、ボクは自然の一部分だ。 安堵と言う柔らかな羽二重に包まれた幸せ・・・ 愛に満たされているからこそ、愛の本質を知りたいと想う。 「汝の敵さえ愛せよ・・・」 キリスト教は、そう教える。 「愛は別離の苦…
ぬばたまの夜が更けて行く・・・ 何処で鳴らすのか、山寺の鐘が陰にこもって流れてくる・・・ 木々の陰影は、漆黒の闇に溶け込む・・・ もう、何も見えない。 ボクは、ここで想像力の宇宙に漂うのだ。 白銀も黄金も玉も、なにせむにの世界なのだ。 なにもの…
夜のしじまの中を夜間飛行・・・ ジェット気流に乗って、ボクは何処へ行こうとしているのだろう。 今夜のディスティネーションを求めて・・・。 漆黒の宇宙空間には、満天の星の様々な絵模様。 文学的な香気すら漂う、星たちのエロティックな瞬き・・・ 密や…
夜道を歩いていると、ボクに寄り添って来るものがいる。 「こんばんは」 彼女は、ボクの足元でそっと囁いた。 「久しぶりだね。元気だったかい」 ボクは、彼女をそっと拾い上げて、手のひらに乗せた。 「ねぇ、幸せになりたいんだけれど・・・」 彼女は、褐…
突然、シーンは旅番組の撮影現場。 旅館の和室の窓から、鏡面のように静かな湖。 乙女の像が見えるから、十和田湖だ。 ディレクターのマキオさんが、カメラマンとカットの打ち合わせをしてる。 食事のシーンだ。 お膳に並んだ料理を見て・・・ 「十和田の名…
ベランダに人の気配・・・ 男が立っているようだ。 眼をこすって凝視・・・ 輪郭がはっきりすると、それは・・・ 笑ウせぇるすまんの喪黒福造のような不気味さを持った男だ。 彼が無表情で言う。 「携帯電話は何をお使いですか?」 「ドコモのスマホだけど・…
人だかりがしている街かど・・・ 新宿3丁目の交差点近くのビルの景色だ。 大きな看板が出ている。 「死に方のワークショップ」 順番待ちらしく、長い行列もある。 どうやら死に方のセミナーが、開講中らしい。 人垣から覗くと、瀬戸内寂聴みたいなおじさんが…