人だかりがしている街かど・・・
新宿3丁目の交差点近くのビルの景色だ。
大きな看板が出ている。
「死に方のワークショップ」
順番待ちらしく、長い行列もある。
どうやら死に方のセミナーが、開講中らしい。
人垣から覗くと、瀬戸内寂聴みたいなおじさんが、講義をしている。
受講生は、その全てがおじさんと、じいさんなのだ。
おばさんや、ばあさんはいない。
死に方を学びたいのは、男だけなのかい・・・。
ボクはバカバカしくて、その場を立ち去った。
寂聴みたいな、おじさん講師の声が追いかけてくる。
「人間はね、生れ方は自分で考えられない。でも、死に方は考えられるんでしゅよ」
当たり前じゃないか・・・とボクはつぶやく。
でも、坊さんの説教は聞きたくないし、世話にはなりたくない。
死に方は、あなたから教えられることかよ・・・と叫んでやった。
今、リタイアした老人たちが、お寺参りや、お遍路やご詠歌の会とかに参加しているが、あれも、あの世へ行く稽古らしい。
何と言うネガティブ思考・・・
ボクは暴走はしないが、人生を激走している。
その先に、死が待っているのは知らないではないが、そんなことはどうでもいい。
今のボクの、この毎日の生き方が、このボクの死に方だい、べらぼうめ!
てやんでぃ!
叫びながら、目が覚めた。
(ある程度の経済力や権力を身につけた老人たちが、暴走したり、迷走したりする姿を見るのはせつない。将に晩節を汚すってやつだ。死に際が悪いし、往生際が美しくない。
死に際こそ、男の美学を見せる時だ。それには今の生き方が大切だと思う。)