道に迷って、たどり着いたのはジャングルに囲まれた小さな村。
樹の陰から、そっと覗くと・・・
村人たちが、大騒ぎしている。
お祭り・・・
そうでもなさそうな雰囲気だ。
村の広場の真ん中に、大木が一本。
そこに、大勢の村人がよじ登っている。
それは、みんな高齢者たちだ。
登れずに、無気力に立ちすくむ老人。
途中で、力尽きて落下する老人。
すると若者たちが現れ、力を合わせて、その大木を揺すり始めた。
枝に掴まっていた老人たちが、ばらばらと落ちてくる。
樹に残ったのは、ほんの少数の老人だけ。
この少数の老人だけが、村に残ることが出来るのだ。
あとの老人たちは、ジャングルに捨てられる。
残った村人たちが、歓声をあげている。
何と、残酷な・・・
いや、待て・・・
ボクの住む社会も、結局はこういうことではないのだろうか・・・
美辞麗句で、どう着飾ろうとも、これが生きるものたちが造る社会の本質だ。
ボクはいつまで、あの木の上に残っていられるだろうか・・・
よし、体力をつけなくちゃ・・・
ジムで筋トレだ・・・
本を読まなくちゃ・・
飯を食わなくちゃ・・・
寝てる場合ではない・・・
起きろ・・・
起きろ・・・
起きろ・・・
本当に起きちゃった。
(福祉社会とか、高度医療とかのオブラートに包まれているが、社会の本質は弱肉強食なんだね。時代がどうなろうと、これは変わらない。命の大切さを叫びながら、ヒューマニズムが崩壊して行く近未来が見えている。日本の超高齢化社会を、世界が固唾をのんで見つめているのだ。)