まだ冬寒の抜けぬ武蔵野の雑木林・・・
枯れ枝に、未だ散り遅れた木の葉が数枚・・・
「風に聞け いずれが先に 散る木の葉」
漱石が唇から洩れた。
凍てついた野川に、帰りそびれた鴨が二羽・・・
何を想うのか、じっと浮かんでいるのみ。
ボクもやがては、木の葉のように、そっと散り・・・
野川を流れて、海に還る時が来る。
尊い命を捧げても惜しくはない祖国は、あるやなしや・・・
今ははや、心に架かる雲もなく・・・
想い豊かに西へぞ歩む。
我が身はやがて、薄墨の空に染まり独歩の旅に出るだろう。
そんな心境には、まだなれそうもない。
理想はいつかは失い、夢は必ず散る。
その分別はつく、経験は積んで来た。
魂に去来する言葉たち・・・
それはボクの、ボクへの伝言。
何かを伝える、もう一人の自分の存在・・・
木の葉を見つめ、想いは千路に乱れる。
そうだ、もう少し、ここに居よう。
風はまだ当分、吹く気配もない。
(思えば、このブログも今日で300回。夢を書くと言う厳しい制約の中でも、結構書けるものだ。作家としては接続詞を使わないと言う制約もつけて書いた文体のトレーニングの場でもある。)