いつものように家の前の砂浜で夕焼け空を見ている
江の島の西浜から少女がひとり
波打ち際を歩いて来る
ダークブルーのタイトなツーピース
今年の不良少女の流行り服だ
彼女がボクの前まで来た
目が合う
紅い夕焼けに彼女の瞳は涙で輝いていた
その時だった
西浜をこちらへ走って来る数人の影…
腰越の不良たちだ
ボクは少女の手を掴むと、松林の中へと走った
ここはボクの勝手知った隠れ家なんだ
身を隠せる砂山の下に潜る
男たちの足音が間近に迫る
ボクはポケットのジャックナイフを握りしめた
しかし、男たちはボクらの真上を通り過ぎて行った
ボクは彼女をそっと抱きしめた
(高校生のボク…この物語に近いことが現実にあったな。ジャックナイフはファッションのようにみんな持っていたっけ。タイトなスタイルの彼女はやがてトップアイドル歌手になったよ。誰だかはヒ・ミ・ツ(笑))